ひとくちメモ


地 獄 の 釜
     第79号(2009年8月)
 お盆は「地獄の釜の蓋が開く」などといいますが、七月一日を釜蓋朔日(かまぶたついたち)といって「地獄の釜の蓋が開く」日とする伝承があるようです。また、それには、地獄の釜の開閉を見張る番人である鬼や閻魔大王にもいわゆる「薮入り」という休暇があり、そのお蔭で死者たちは一時地獄の苦しみから逃れられる、ということのようす。
 ただ、このような話は、地獄を死後の世界にしたり、出来れば行きたくない恐ろしいところとされていて、仏教とは少しズレています。
 仏教では、地獄は六道という人間の迷いの姿の一つとされています。『往生要集』という書物には「無処帰孤独無同伴」(帰るところなく、孤独にして同伴なし)とあります。それは、他者と出会うことの出来ない孤独な世界(生き方) です。自分と他者を切り離し、生と死を切り離すような生き方を、地獄だと教えて下さっています。決して死後の世界の話ではありません。
 お盆という行事が、亡き人と私がどの様に関わり、つながっているかを感じられる場となることを願っています。それは、今、現に自分が何と出会っているかを確かめることとなります。                      
                                          合 掌